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体外受精胚移植を初めとする高度生殖医療について

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体外受精胚移植を初めとする高度生殖医療について

はじめに

体外受精胚移植は従来の不妊治療では妊娠できなかったご夫婦に対する画期的治療法として1978年 イギリスで開発されました。 その後20年以上が経過し、種々の改良がなされ、妊娠成功率も上昇し、より安全に安易に実施できるようになってきています。 この治療を簡単にいうと、超音波ガイド下に針を用いて卵巣から卵子を採取し、体外で精子と受精させ、 受精卵を培養してカテーテルで子宮内に戻す、というものです。 日本でも1983年に最初の成功例が報告されて以来、現在まで推計10万人以上の体外受精胚移植による 新生児が誕生しています(平成10年の1年間で10000人以上誕生)。

体外受精胚移植の適応

日本産婦人科学会の会告に従い、以下に該当する患者さんにこの治療を行います。
  1. 卵管性不妊
    両側の卵管閉寒、通過障害、腹腔内の著しい癒着によるピックアップ障害等が検査で診断された場合。


  2. 男性因子
    精子数が少なかったり、精子の運動性が不良で人工授精を行っても妊娠が成立しない場合、 あるいは人工授精を行ったとしても妊娠が不可能なほど精子の状態が不良である場合。


  3. 免疫性不妊症
    女性側に抗精子抗体があるために妊娠の成立が妨げられていると考えられる場合。


  4. 原因不明不妊症
    種々の不妊症検査にもかかわらず、原因が特定できない場合や、従来の不妊治療を繰り返し行っても妊娠が成立しない場合や、 従来の不妊治療を繰り返し行っても妊娠が成立しない場合。


  5. その他
    卵胞が成長しても、排卵が起きないまま黄体化してしまう方なども体外受精胚移植の適応となります。 重症の子宮内膜症で、内膜症治療や不妊症治療を行っても妊娠に至らない場合にも、体外受精胚移植により、当初は原因が推定されその 治療が行われてきたにもかかわらず依然として妊娠成功に至らない場合には、加齢に伴う卵巣機能の低下などを勘案して、 いたずらに無効な治療を繰り返すことなく、体外受精胚移植の適応を考慮すべきである、と、されています。 (日本不妊学界:新しい生殖医療技術のガイドラインより)

体外受精胚移植の過程の概略

体外受精を行う際には、
  1. 自然周期で行う場合。
  2. 経口の排卵誘発剤をベースにして、卵胞発育の状態により、必要に応じて排卵誘発剤の注射を追加する場合。
  3. 排卵誘発剤の注射を連日行い1回の採卵で多数の卵子を採取する場合。 第9章へ戻る


  4. などがあります。 現在わが国の多くの施設でもっとも頻繁に用いられているのは、Cの排卵誘発剤を連日打つ方法ですが、 妊娠率はやや劣るもののBの方法も肉体的負担の少ない治療法として選択されています。 ご夫婦の希望によりどの方法でも選択できます。 それぞれの方法には、主には以下のようなメリット、デメリットがあります。

方 法 メリット デメリット
A.自然周期でおこなう場合 排卵誘発剤を使わないので、治療に伴う副作用がほとんどない。
B、Cに比較して1周期あたりの治療費が安い。
排卵前の排卵により採卵がキャンセルになることがある。
採卵数が採れても1個だけなので、胚移植まで至らない場合も多い。
1周期あたりの妊娠率も低い。このため、妊娠にいたるまでの総費用が平均するとB,Cの方法よりもかえって高くなる可能性がある。
B.経口の排卵誘発剤(クロミッド)をベースとして使う場合 経口の排卵誘発剤を使用するので、作用がマイルドで副作用が少ない。
複数の良好な受精卵を移植できた場合にはCに匹敵する妊娠率が得られる。
Cに比較して1周期あたりの治療費が(毎日の注射や点鼻スプレーがない分だけ)安い。
採卵前の排卵により採卵がキャンセルになることがある。
卵の数がCに比べて少ないため、胚移植に至らない場合が3割くらいある。移植が少なくなる場合があり、平均するとCに比較して、 1周期あたりの妊娠率が劣る。
C.排卵誘発剤の注射(HMG製剤)を連日打つ場合 1回の採卵で多数の卵子を採取できるので、A,B,C3法のうち、採卵1周期あたりでもっとも高い妊娠率を出すことができる。 排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群を発症する可能性がある。
多胎妊娠の可能性が、2割以上ある。
点鼻薬と排卵誘発剤の費用が加わり治療費がかさむ。
回数が重なると排卵誘発剤が効きにくくなるケースがある。

A の排卵誘発剤をまったく使用しない採卵は、採卵あたりの妊娠率が低く、やむをえないケース以外はあまり行われません。
B,C のどちらを選択するかについては、その方の年齢や卵巣の状態等にもよりますが、 採卵あたりの妊娠率が多少低くても、副作用を極力少なくしたい方は、Bを、 副作用の発生が多少あっても1回の採卵あたりの妊娠率をできるだけ高くしたい方はCを、選択される場合が多いです。

Bの排卵誘発剤を内服して採卵する方法の概略を説明いたします。
  1. 排卵誘発剤(クロミッドの内服)と卵胞計測

    月経開始の3日目あたりから、クロミッドを1日1錠または2錠内服します。
    月経開始8日目前後で超音波にて卵胞を計測し、必要に応じてHMG製剤の注射を打ちます。
    (10日目前後にも打つことがあり、ケースによってはその後も追加することがあります。)


  2. HCGの注射

    卵胞が十分発育した時点で、夜9時15分にHCGという注射を打ちます
    (または、その代わりとして、夜の指定時刻に点鼻薬をご自分でスプレーしていただきます。)


  3. 採卵

    採卵は経膣超音波で卵胞を写し出し、採卵針を用いて卵胞液を吸引すると同時に卵子を採取します。 採卵は無麻酔でも可能ですが、当院では麻酔をした上で実施します。 主な麻酔方法は、以下の2法です。
    @採卵前に鎮痛剤の座薬を入れた上で、針を刺す部位に局所麻酔薬を注射して麻酔する。
    A点滴をしたうえで、軽い静脈麻酔(眠ることが出来る麻酔薬と、痛みを除く麻酔薬を使用します)を行う。
    麻酔に伴う副作用はほとんどありませんが、@のほうがより副作用は問題になりません。 際乱数が少ないことが予測される方は@でも十分です。 またいずれの麻酔方法も、多くの場合、採卵時の痛みはあってもわずかです。
    当院では、朝採卵し、お昼過ぎに帰宅していただいております。(採卵前は前日夜9時以降、禁飲食です。)
    採卵後は、感染予防のため抗生物質を服用して頂きます。


  4. 受精
    ご主人の精液を院内の採精室で採取していただくか、またはご自宅で採取していただいたものをご持参いただき、 当院で精液を処理した後、卵子と受精させます。 その際にご主人の禁欲日数は、3日〜7日までとしてください。 (極端に長期間の禁欲は、かえって精子の運動率が低下してしまう恐れがあります。)


  5. 胚培養

    受精卵は、培養器の中で卵の培養に最適な環境をつくり、2〜6日培養します。


  6. 胚移植

    カテーテルを用いて、膣より子宮内に胚を戻します。 胚移植の際には、痛みはほどんどないため、原則的には麻酔は必要ありません。 肺移植の前には食事を済ませてきていただきます。 また胚移植カテーテルが経腹超音波で見えやすくするため、胚移植のおよそ2時間くらい前から、排尿をしないでいただきます。 胚移植後、院内の安静室で2時間お休みいただき、そのまま帰宅していただきます。
    戻す胚の個数は原則的には3個までとします。


  7. 黄体ホルモン補充

    黄体ホルモンを膣座薬や内服薬により補充し、着床しやすくします。
    HCGの注射を併用することもあります。



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